福島県会津若松市の中山間地域で公民連携の高齢者の見守り支援サービスの実証実験が開始する。これは、福島県会津若松市の中山間地域において、会津若松市と連携し、湊地区、大戸地区ですでに導入されているアイラ株式会社の「ささえi(アイ)コミュニティ」サービス(以下、「ささえi」)をプラットフォームとする「みなとチャンネル」および「おおとチャンネル」を活用するものだ。
目的は、ICTを活用し、日頃から高齢者を見守るなかで、異常を検出し、自治体や地域運営組織、福祉関係者などとの連携による地域見守りサービスの実現性を検証することだという。
日本郵便やNTTコミュニケーションズらと共同での取り組み
ささえiとは、自治体や地域団体と連携しICTを活⽤した地域課題解決の活性化を促進するためのインタラクティブな地域情報配信・共有・管理基盤のこと。「住民主役の協業のまちづくり」を施策とする取り組みにおいて地域ぐるみで情報共有を促進し、双方向通信の特性を活かした「地域の課題を地域で考え地域で解決するICTサービスの構築」を実現するためのまちづくり支援サービスである。
今回の実証実験では、日本郵便は、ささえiのオプションサービスとして、住民の生活状況を確認する「見守りアプリケーション」を提供し、NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は、電話一本で脳の健康度合いを確認する「脳の健康チェック」を提供する。
対象者が高齢者であることから、従来サービスの運用にくわえ、ICTソリューションの導入だけでなく、万が一の場合の「訪問」まで含めた、安心安全な地域見守りの仕組みづくりを目指していく。今回の実証では、高齢者向けの8インチサイズのささえiサービス向け専用端末「hoam」にくわえ、株式会社LIMNOのNFCカードリーダー搭載10インチ端末を新規に独居高齢者宅に配し、高齢者の利便性を向上し、地域でICTを活用しながら支え合い見守ることで、高齢者の孤立化の課題に対処していくそうだ。
「薬の飲み忘れはないですか?」を確認
アイラは、2017年から会津若松市の委託を受け、市内の湊地区において、ささえiをベースとしたコミュニティ情報プラットフォーム「みなとチャンネル」を開発・運営している。2022年からは大戸地区においても同様の形で「おおとチャンネル」を開発・運用している。
ささえiのサービスは、ことし4月から従来のお知らせ機能にくわえ、緊急災害時などのお知らせ(「緊急のお知らせ」)における最大音量での読み上げ、重要度の高いお知らせ(「大事なお知らせ」)における通常音量での読み上げ機能(音声告知機能)を追加し、現在は地域の安心安全を担う地域生活支援サービスとして活用されている。
今回の実証では現在の「緊急のお知らせ」「大事なお知らせ」の音声告知機能だけでなく、日本郵便の「見守りアプリケーション」を使い、体調の感覚(良い、悪い)、服薬管理(薬の飲み忘れがないか?)、睡眠の状態(よく眠れたのか?)などの生活状況の質問を音声で問いかける機能も搭載する。これらの質問(問いかけ)に対して端末から回答することで、その人の生活状況を確認できるようになる。さらに、NTT Comの「脳の健康チェック」を1週間に一度程度行うことを習慣づけ、認知機能の低下状況を早期に見つけることも可能にする。
また、管理担当者がささえiの基本サービス、日本郵便の「見守りアプリケーション」、NTT Comの「脳の健康チェック」等の回答状況を複合的に確認したうえで、訪問確認が必要と判断した場合は、会津若松市や地域運営組織の担当者が訪問して状況を確認するという。つまり、単にセンサーなどの一方的な異常通知ではなく、高齢者が専用端末を通して行ったやりとりを通して、複合的に判断することにより、もしもの場合には「人」が訪問し見守る、公民連携の「高齢者が安心できる見守り支援サービス」を目指しているのだ。