広島県神石高原町役場は7月10日、Jリーグ参入を目指して活動している福山シティフットボールクラブ(以下、福山シティFC)のU-18(ユース)を誘致するため、町臨時議会に本町では初となる人工芝サッカー場改修整備に要する経費を上程し、可決されたことを明かした。
神石高原町では、福山シティFCの誘致により、若年層の人口増加に資する施策をより鮮明にし、町としての生き残りをかけた取り組みを加速させていく。
クラブハウスやナイター設備などを整備
神石高原町はその名のとおり、「高原のまち」だ。冷涼な気候を有する標高400~600メートルの場所に位置する。北には庄原市、南は福山市、東は岡山県、西は府中市と隣接している。盛んな生産品はトマトやこんにゃく芋、ニューピオーネなど。また、広島県産神石牛などの素材から加工食品まで多くの産品が作られている。
神石高原町は、20年前の合併時12,000人の人口が現在は8,000人を割り込んだ。2024年には依然として消滅可能性自治体と発表されている。
同町では子育て支援策などを打ち出していたところに、今回のサッカー場整備による福山シティFC U-18を誘致することで、地域の活性化、住民増加、関係人口の増加などを狙う。
今回可決されたサッカー場改修整備では、ナイター照明、クラブハウス等の付属設備を設ける。
ジュニア世代はもちろん、地域の愛好者らが集う交流の場としての活用も期待しており、Jリーグが基本理念とする地域密着型のクラブ運営を地域と共にサポートしていく。
福山シティFCは2030年にJ1で優勝できるチームを目指す
誘致先である福山シティFCは福山市をホームタウンにしているフットボールクラブだ。現在は中国地域リーグに所属し、『すべての人に「生きる勇気」と「明日への活力」を。』をテーマに2030年にJ1で優勝争いができるチームを目指している。
福山シティFCでは、トップチームはもちろんのこと、アカデミーの充実を最優先事項としてチーム作りに励んでいる。
Jリーグはもとより地域密着型のクラブ運営を目指す団体だ。今回の神石高原町への誘致は、神石高原町としての地域課題と、福山シティFCが取り組むアカデミーの充実、そしてJリーグの理念に則ったそれぞれの“狙い”が合致したことで、取り組みがスタートしている。
ちなみに、福山シティFCは所属リーグでは7月13日時点で首位を走る。10試合消化して9勝0敗1分の好成績を残している。過去には広島県東部サッカーリーグ3部(県5部相当)で二年連続“全勝優勝”などをはじめ、参加リーグでは軒並み「優勝」している要注目のフットボールクラブだ。
定住人口及び関係人口増に資する地方創生の推進
同町と福山シティFCの架け橋になったのは、神石高原町出身の丹下兄弟により誕生したまちおこし企業・株式会社MSERRNT(マサーント)だ。
2023年には神石高原町とマサーント、福山シティFCは「持続可能な地方創生の実現に向け,やる気あふれるひとづくりと魅力あふれるまちづくりに挑戦し,人々を魅了し地域を牽引する新たなエンジンとなる」ために連携協定を締結した。
連携を図る項目は以下のとおり。
- 町の魅力を伝える交流人口(ファン)拡大
- 定住人口及び関係人口増に資する地方創生の推進
- スポーツ等を通じた若者の健全育成
それぞれが持つ強みと特性を活かし、連携の中にも自立した活動を基本に据え、相互の力を最大化を目指す。
このあと2024年8月7日には、基本合意書調印式が実施される予定だ。