シカは65億円、イノシシは36億円 獣害による被害額が深刻 IoT自動捕獲システムに注目集まる

アイエスイー
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獣害被害が深刻だ。

農林水産省の発表によれば、令和4年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は約156億円にのぼる。鳥獣別の被害額は、シカが65億円、イノシシが36億円、アライグマが5億円、カモが4億円だという。想像以上の金額に驚くばかりだ。

首都圏近郊で生活をしているとニュースで耳にする程度かもしれないが、農業が盛んな地域においては死活問題である。

獣害の対策としての設備や製品はさまざま登場しているものの、パソコンやスマートフォンで遠隔捕獲や自動捕獲システムを備えた、安心で簡単なIoT機器がある。株式会社アイエスイーが手がける「ロボットまるみえホカクン」だ。

ホカクン
目次

全国47都道府県で使用中 人員不足の問題をも解決

アイエスイーは三重県伊勢市に本社を構える企業だ。いきなり余談で恐縮だが、代表取締役 髙橋 完氏は「アイエスイーは伊勢(ISE)から取った名前」と話してくれた。

同社サイトによれば、社員数は2023年6月時点で20名。決して大きな企業ではないものの、主要な取引先は環境省や都道府県庁、市町村役場、そのほか多数並ぶ。そして、同社の製品(ロボットまるみえホカクン)を導入しているのは全国で47都道府県ある。つまり、すべての都道府県のいずれかの市区町村のどこかしらが使っている。導入台数は全国で540以上だそうだ。

なぜこれほどまでに、アイエスイーの獣害対策「ロボットまるみえホカクン」が選ばれるのか。やはり、簡単で安心して利用できる、という点が最大の長所だと考えられる。仕組みについては同社のYouTubeにて公開されている。
※下記動画は「ロボットまるみえホカクン」の前身である「クラウドまるみえホカクン」のもの。

獣害被害対策にかける人員も減らせる

前述の動画にも載っている内容ではあるが、ロボットまるみえホカクンの特徴について簡単に紹介したい。

  1. 侵入センサー反応
    獣が檻に侵入するとセンサーが反応し、スマートフォン・パソコンへ通知が届く
  2. プッシュ通知・メール受信で檻の様子を確認
    リンクをクリックするだけで、檻のライブ映像が表示される
  3. ライブ映像によって確認から捕獲も
    ライブ映像を見ながら「捕獲」ボタンを押して遠隔捕獲。捕獲したらプッシュ通知・メールで通知が届き、止め刺し処理の効率も向上
  4. 自動捕獲も可能
    檻内外の獣の有無を確認し、「自動捕獲モード」で設定した時間に自動捕獲。
  5. 録画のチェックもできる
    録画画面から、獣の種類や頭数の記録がつけられ、獣の出没状況から餌付け状態がひとめでわかる

「誰でもできそう」という点が大きなポイントだ。これまで人力に頼らざるを得なかった獣害対策において、遠隔で操作までできることもあり、人員削減にもつながる。被害対策と安心、そしてこのような人不足の問題までもカバーしているのだ。

利用者は「多頭捕獲できる点」を高く評価 一度に最大13頭の事例も

ロボットまるみえホカクンに関する資料に目を通していると、導入した自治体や行政などでの実績例が記載されている。そのなかでも目に留まったワードは「多頭捕獲できる」という話だ。

北海道厚岸町(あっけしちょう)ではエゾシカ対策に同製品を導入した。2017年度から前身の「クラウドまるみえホカクン」を利用しており、2021年当時までの累計で72頭の捕獲に成功。2019年度からはロボットまるみえホカクンも導入。これまでの一度の最大捕獲数は13頭だと満足げに語った様子が記載されている。

そのほかにも、滋賀県米原市においては「スマートディア」の対策としてホカクンを活用中。ホカクンの導入によって、これまで約200頭のシカを捕獲できているそうだ。同市では捕獲活動によってスマートディアの発生を抑えられていることや、選択捕獲できる点も良かったこととして挙げているものの、米原市としても「多頭捕獲できる点が一番」としている。

水産業支援や地域や林業の防災ソリューションも提供

アイエスイーは獣害対策以外にも、水産業への支援になる海象データをいつでもどこでもチェックできる「うみログ」や、林業で働く人たちの安全のための安否確認システム「TasuCall(たすかる)」、豪雨による「ため池」の反乱を未然に防ぐ「いけログ」といったソリューションを提供している。

いずれも、現場で働く人、その地域で暮らす人のためのソリューションだ。

うみログは、経験だけに頼らないIoTによる客観的なデータを用いた「海の見える化」を図るためのソリューション。漁業者の高齢化や担い手不足という社会課題の解消を担うための製品。TasuCallは携帯圏外の山林でも無線伝送がよく飛ぶ150MHzLPWA通信を利用し、作業者の位置や安否を把握することで、森林事故の早期発見や迅速な救助をサポートする。そして、いけログは見廻りにかかる労力と豪雨時の事故リスクの軽減につながる製品だ。

同社の製品が全国で選ばれる理由 手厚いサポートが魅力

それぞれのソリューションは全国各地でロボットまるみえホカクン同様に導入が進んでいる。

同社製品が幅広い地域で選ばれることについて、同社代表の髙橋氏は次のように話す。

「現場の人が抱えている悩みや課題は、実際のところその当事者ではないとなかなか気が付けないことが多いんですよね。アイエスイーとして掲げているのは『だったらいいな』をカタチにしていくことで、現場の人たちがどうすればより良くなるのか、それを考えてさまざまな製品を作っています。

また、当社としては導入してもらって終わり、ではなく、現場で使ってもらえるかどうかに気を配っている面もあります。それこそ、せっかく機器を導入してもらったのにもかかわらず、倉庫で眠ってしまっては、導入した側もされた側もどちらにとっても悪いことです。

ですので、できる限り導入後、もちろん導入前においてもお客様へのサポートは手厚くご支援させていただいています」

株式会社アイエスイー

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シクチョーソンでは、デジタル庁 河野太郎大臣の講演をはじめ、「自治体・公共Week2024」で実施された各種セミナーや出展ブースのレポートなどを公開中。気になる取り組み、参考にしたいサービスなどを紹介しているのであわせてチェックしてください。

自治体・公共Week2024 レポート記事一覧

展示会概要
展示会名自治体・公共Week2024
会期:2024年6月26日(水)~2024年6月28日(金)
会場:東京ビッグサイト 西展示棟
※本展は業界関係者のための商談展です。一般の方はご入場できません。

アイエスイー

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