日本初の3Dプリンター建築が静岡県に誕生 組立期間わずか4日で公衆トイレが完成

3Dプリンタートイレ
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静岡県に、日本初となる建築用3Dプリンターを活用した建物が誕生した。これを実現したのは、静岡県駿河区に本社を構える百年住宅株式会社。従来のプレハブ建築「WPC工法」と3Dプリンター技術を融合させたハイブリッド建築として、SBSマイホームセンター静岡展示場に新たな公衆トイレを完成させた。

目次

3Dプリンター×WPC工法のハイブリッド建築とは?

この新たな建築手法は、耐久性と工期の短縮を両立させる画期的な技術だ。

  • 建築地:静岡県静岡市駿河区桃園町(SBSマイホームセンター静岡展示場内)
  • 延べ面積:54.97m²
  • 用途:公衆トイレ
  • 構造:鉄筋コンクリート造(PC板組立工法)
  • 工期:約2ヵ月(部材の組立期間は約4日間)
  • 建築主:SBSマイホームセンター株式会社
  • 設計施工:百年住宅株式会社

開発の背景

日本では、地震や台風、豪雨などの自然災害が頻発しており、高耐震・高耐久の建物が求められている。一方で、

  • 職人不足
  • 建築資材の高騰
  • 工期の長期化

といった課題があり、特に小規模建築ではコンクリート造の普及が進みにくい状況だった。

そこで、百年住宅は、建築用3Dプリンターとプレキャストコンクリート(PC)技術を組み合わせたハイブリッド建築の開発に着手。3Dプリンター建築のベンチャー企業「セレンディクス株式会社」とのオープンイノベーションにより、全く新しい建築手法を確立した。

ハイブリッド建築の特徴とメリット

1. 設計自由度の向上

3Dプリンターを活用することで、

  • 円形や曲線デザイン
  • 細かな表面凹凸

など、従来の鉄筋コンクリートでは実現困難だったデザインが可能になった。

▲ 3Dプリンターで出力後の各部材

2. 工期短縮とコスト削減

  • PCパネルを組み立てる「WPC工法」を採用。
  • 従来の工法と比べ、工期を1/4に短縮!
  • 建築職人の数を大幅に削減し、人件費高騰の課題も解決。
▲ 組立工期は1/4程度に短縮される

3. 高い耐久性と耐震性

  • 構造躯体はPCパネル製であり、地震保証付き(最長100年保証)。
  • 全ての部材をプレハブ化し、品質が安定。
  • 火災にも強いコンクリート素材を使用。
▲ 中空部分へコンクリートと鉄筋を差し込み連結させる

3Dプリンターの仕様と活用

  • メーカー:TAM社(オランダ製)
  • 構造:移動可能なアーム式
  • 使用素材:オリジナル配合のモルタルと添加剤
  • 生産体制:オペレーター1名+作業員1名で部材製造が可能

これにより、最小限の人員で高度な建築部材を迅速に製造できる。

従来の3Dプリンター建築との違い

  • 構造躯体の安全性と耐久性が確保されている
  • 一般公開可能な建築物(従来の3Dプリンター建築は開発中や個人所有が多い)
  • 確認申請の許可が容易

日本初!3Dプリンター建築の一般公開へ

今回のプロジェクトにより、国内で初めて一般の人々が3Dプリンター建築を見学・体感できる機会が生まれた。

【見学可能な建築物】

  • 所在地:静岡県静岡市駿河区桃園町 SBSマイホームセンター静岡展示場
  • 用途:公衆トイレ(来場者向けに一般開放)

建築に関心のある企業や研究機関、自治体関係者も見学・取材が可能となっている。

未来の建築へ向けた挑戦

百年住宅のハイブリッド建築は、住宅や商業施設、公共建築物などさまざまな用途へ応用可能な技術として注目されている。今後の大地震対策や、国が進める住宅ストック政策にも対応できる次世代の建築手法として、建設業界の新たな可能性を拓くことが期待される。

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