LINEヤフー株式会社は7月24日、ことし1月1日に発生した能登半島地震における被災者の避難先やニーズについて、LINEヤフーが保有する位置情報データなどを活用して分析したレポート「能登半島地震から半年 ビッグデータからみる能登半島地震の避難状況」を公開した。
なお、分析に使用したデータはすべて匿名化・統計化されており、個人を特定することはできないようになっている。また、居住地情報はLINEヤフーの保有する位置情報データを活用し推定したものだ。
本稿は、同レポートに関するプレスリリースの内容をもとに作成している。
地震発生直後に輪島市・珠洲市の居住者の約7割が自宅を離れる
能登半島地震の被災地域である輪島市と珠洲市の人流を時系列で分析したところ、地震発生直後に輪島市と珠洲市の推定居住者の約7割が自宅を離れた可能性があることがわかった。
その後、徐々に自宅に戻る人が増えているものの、市内の避難者とみられる人たちの割合は大きく変わることなく推移している。6月末時点でも自宅に戻ることができず、避難所または新たな拠点での生活を始めている人が多数いることがうかがえる。
輪島市・珠洲市推定居住者の地震後の移動先推移
自宅:災害以前と同地域で位置が発生した場合、自宅での位置発生と推定
市内:輪島市、珠洲市(各ユーザーの自宅の場所を除く)
県内:石川県(輪島市, 珠洲市を除く)
県外:石川県以外の都道府県
※1日の中で複数個所に位置情報が存在する場合、自宅・市内・県内・県外の順で優先的に割り振りした
さらに推定自宅滞在者の部分を抜き出して復帰率を見た結果、6月末の段階でも46%ほどしか自宅に戻れていない状況が見て取れた。多くの被災者がいまだ地震発生前の日常を取り戻せていない様子がわかる。
富山県と東京都に被災地から移動した人が多い
被災後、輪島市・珠洲市の住人がどこへ移動したのかを細かく分析したところ、6月30日時点での移動先は、石川県内では金沢市へ移動した人が最も多かった。
また野々市市や白山市など人口の多い市のほか、被害の大きかった鳳珠郡能登町や七尾市にも一定数の移動者がいる様子がわかる。ただ、市外に移動したと考えられる推定ユーザー数は日を追うごとに減少しており、徐々に輪島市・珠洲市に戻ってきていると考えられる。
次に、石川県外に移動した人の推移を分析したところ、移動先として最も多かったのが隣接する富山県だった。しかし、その後移動人数、構成割合ともにじわじわと東京都への移動者が増加している様子だ。
6月30日の段階では富山県の構成割合が13.7%、東京都が14.7%となっており、県外移動者が最も多いのが現時点では東京都だと推察される。こちらも県内同様に徐々に推定ユーザー数が減っており、輪島市・珠洲市に戻ってきている可能性が考えられる。
水道・断水や風呂は1月末まで「検索」されていた
地震が発生した1月1日から1月7日までと、そこから1週間ごとの検索キーワードがどのように変化しているのかを分析したところ、電気・停電に関するキーワードは1週間ほどで概ね少なくなったが、水道・断水は1月末まで検索されていることがわかった。
それにともない、風呂に関する検索も地震発生直後から1ヵ月後まで検索されている一方で、ガソリンなどは1週間ほどで検索ニーズが減っていた。
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LINEヤフーは、被災者の移動先や検索ニーズをデータから捉え、今後の災害時に優先すべき支援や復興・復旧の判断に役立てるなど、データの価値を社会に還元するさまざまな取り組みを進めるとともに、今後も被災者や被災地に対し継続的に支援していきます。