植物工場を展開するOishii Farm Corporation(本社:米ニュージャージー州)は、米デンバーを拠点とする自動収穫技術スタートアップ「Tortuga AgTech」の主要な知的財産および技術関連資産を取得した。さらに、同社のエンジニアリングチームもOishii Farmに加わり、持続可能な農業の実現に向けて新たな一歩を踏み出した。
精密農業のトップランナーが連携
Tortuga AgTechは、2016年に創業した農業ロボティクスのスタートアップで、いちごやブドウといった繊細な果実の自動収穫に特化した技術を開発してきた。これまでに5,500万ドル(約80億円)を調達し、AIとマシンビジョンを活用した高精度な収穫・収量予測技術を誇っている。
今回の買収により、Oishii FarmはTortugaのAIモデル、ロボティクスソフトウェア、ハードウェア設計技術などを獲得。これらの技術を自社のいちご生産システムに統合することで、自動化のさらなる精度向上と生産性の強化を図る。
世界最大級のいちご植物工場がさらに進化へ
Oishii Farmは、ニュージャージー州に世界最大級のいちごの植物工場を保有し、高品質な通年生産を実現している。持続可能性とテクノロジーの両立を掲げ、これまでも収穫の自動化に取り組んできたが、今回の技術統合によりそのスピードと完成度は格段に高まる見通しだ。
同社CEOの古賀大貴氏は「自動収穫だけでなく、農場全体の包括的なオートメーションを進めており、今回の買収によって、Oishii Farmのいちごが世界に広がるスピードがさらに加速する」とコメントしている。
地域や環境にも優しい農業モデルへ
Tortuga AgTech CEOのエリック・アダムソン氏も「Oishii Farmのサステナブルな農業革命に参画できることを誇りに思う」と述べ、両社の統合がよりよい未来の農業につながると確信を示している。
農業の人手不足や気候変動といった社会課題に対して、ロボティクスとAIを駆使したスマートアグリが注目を集める中、今回の買収は技術革新と持続可能性の両面で象徴的な動きといえる。
今後は、Oishii Farmの自動収穫技術が日本を含む世界各地で普及することで、持続可能な農業と地域活性化の両立を目指すモデルケースとして期待されている。