Kudan株式会社は、エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社と連携し、都市部のビル群が密集する「アーバンキャニオン」環境下において、高精度な3次元点群地図を簡易かつ効率的に作成する手法の実証実験に成功した。今回の技術革新は、GNSS(衛星測位システム)が使えない都市空間でも、スマートシティ実現に必要な基盤整備を可能にする大きな一歩となる。
スマートシティに求められる「地図精度」の壁を突破
自動運転車やロボットが都市空間を安全かつ正確に動くためには、精密な位置情報と地図が不可欠だ。しかし、高層ビルによる電波の乱反射でGNSSが正確に機能しないアーバンキャニオンでは、従来の地図作成手法では対応が難しく、高額なセンサーや複雑なデータ処理が必要とされてきた。
KudanとNTTインフラネットは、こうした課題に対し、Kudanが保有する3D-Lidar SLAM技術(KdLidar)と、NTTインフラネットが保有する高精度なマンホール位置情報を組み合わせることで、GNSSに依存せずに地図精度を飛躍的に向上させる手法を確立。東京都・品川港南エリアでの実証では、水平位置の標準偏差12cm以内、標高点の標準偏差25cm以内という高精度の3D点群地図を生成することに成功した。
地域資産を生かした“簡単・高精度”なデジタルインフラ整備
今回の技術では、既存の都市インフラであるマンホールの位置情報を「基準点」として活用。これにより、GNSSが使えないエリアでも、従来のような大型・高価格な設備を用いることなく、直感的なGUI操作による効率的なマッピングが可能となった。導入・運用のハードルが大幅に下がることで、スマートシティの実装が地方都市や中小自治体にも広がる可能性が高まる。
防災・都市管理・環境にも応用可能
この新技術の社会的意義は大きい。具体的には以下のような展開が期待されている。
- スマートシティの推進:都市のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速し、自動運転やロボティクスの社会実装を支える。
- インフラ管理の効率化:橋や道路の状態管理を高精度かつ迅速に行えるようになり、維持コストや人的負担の軽減につながる。
- 防災・災害対策の強化:災害時の被害把握や避難ルート設計、復旧対応における情報基盤としても活用が可能。
- 環境負荷の低減:都市設計や交通の最適化を通じて、CO₂排出の抑制にも貢献する。
今後の展望:より複雑な都市環境での本格運用へ
Kudanは今後、実証範囲の拡大や複雑な都市構造での精度検証を進め、商用化に向けた取り組みを加速する方針だ。ロボティクスやデジタルツインといった最先端技術との連携も視野に入れ、都市の持続可能性と利便性の両立に貢献していく。