株式会社G-Placeは、持続可能な水産業の実現に向けた取り組みとして、ベトナムにおける陸上養殖の環境課題に対応する高機能担体の導入に向けたニーズ確認調査を、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」において実施することが決定した。
本事業は、水処理部品の開発・販売に実績を持つG-Placeと、微生物研究のノウハウを有する関西化工株式会社との連携により実施される。調査は2025年上半期から開始され、ビジネスモデルの検証と、将来的な現地展開に向けた基盤づくりが目的となる。
養殖業が直面する課題に、担体技術で応える
ベトナムでは、バナメイエビを中心とした陸上養殖が盛んだが、過密養殖や水質悪化による病気の蔓延、抗生物質の多用といった課題が指摘されている。こうした課題に対し、G-Placeが提供する「高機能担体」は、水を効率的に浄化し循環させる生物ろ過材として、以下のようなメリットが期待されている。
- 病原リスクの低減:外部からの河川水の取り入れを抑制し、病原体の侵入を防止
- 水質安定化による成長促進:微生物の働きで養殖水を浄化し、最適な飼育環境を維持
- 抗生物質の使用抑制:清浄な飼育環境により、薬剤に頼らない養殖管理を実現
- 環境負荷の軽減:排水量の削減により、周辺水域への影響を抑える
これにより、持続可能な陸上養殖の導入が期待されるとともに、ベトナムにおける水産業の品質・収益性向上にも寄与する見通しだ。
JICA支援でSDGsの実現と日本企業の海外展開を後押し
今回の事業は、JICAが展開する「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」の一環として採択されたもの。開発途上国の社会課題解決と、日本の中小企業による海外展開を同時に支援するスキームであり、G-Placeのように技術力と社会的視点を併せ持つ企業にとって、国際社会でのビジネス機会を拡げる好機となる。
同社では、今回の調査を皮切りに、ベトナムをはじめとする東南アジア諸国への展開も視野に入れ、SDGs達成に貢献する事業づくりを加速する方針だ。
陸上養殖から広がる、持続可能な社会づくり
G-Placeはこれまでにも、持続可能な開発目標(SDGs)に基づく事業活動を推進しており、総合商社としてのネットワークとノウハウを活かして、国内外の環境・社会課題に取り組んできた。
「水」をキーワードにした今回の挑戦は、食の安全や環境保全、途上国支援など多くのSDGs目標にまたがる重要なアプローチであり、今後の陸上養殖のスタンダードを塗り替える可能性を秘めている。
水の循環がつくる、新たな未来。G-Placeの挑戦は、養殖の現場から、持続可能な地球環境と食の安心を築く一歩となる。