成田国際空港株式会社(NAA)と千葉県は、2025年4月1日、新たな地域開発と空港機能強化の拠点となる「NRTエリアデザインセンター(略称:NADC)」を開設した。これは「新しい成田空港」構想および「成田空港周辺の地域づくりに関する実施プラン」に基づき、空港と地域が一体となった成長を実現するための中核機関として機能するものだ。
今後は、空港を軸にしながらも、周辺の市町を含めた広域での都市・産業づくりを目指し、国土交通省、自治体、民間事業者と連携した包括的なまちづくりが加速する。
「NRTエリアデザインセンター」とは?
センター名に含まれる「NRT」は成田国際空港の世界共通コードであり、「エリアデザイン」は空港内外の地域全体を視野に入れた発展を表す。成田空港周辺を、単なる交通ハブから「暮らし・産業・インフラ」が融合する新たな“エアポートシティ”へと進化させる構想が掲げられている。
また、ロゴマークには、空港から世界に広がる飛行機と周辺市町を象徴する花弁が円環状に配置されており、“つながり(環)”の広がりと持続可能な地域発展への思いが込められている。
エリアデザインセンターの役割と業務
開設されたNADCでは、以下の業務に取り組むことで、空港と地域の連携を戦略的に進めていく。
- エアポートシティ構想のビジョン、ゾーニング、ロードマップの策定
- 地域公共交通ネットワークの再編と強化
- 産業拠点の形成に向けたリサーチと戦略推進
- 周辺市町のまちづくり支援
- 国内外への情報発信・広報活動
- 民間企業との連携によるプロジェクト推進
- 組織運営・調整業務全般
また、構想の方向性確認や政策調整のため、センター長・千葉県知事・NAA社長による三者会議の開催が予定されている。
アドバイザーに大学教授やUR都市機構も参画
NADCの戦略策定にあたっては、成田空港地域共生・共栄会議の副会長を務める日本大学の轟朝幸教授、東京女子大学の二村真理子教授に加え、都市開発の実務経験を有するUR都市機構もアドバイザーとして参加。専門家の知見を活かしながら、実効性ある計画が練られていく。
空港と地域の未来を描く「成田モデル」へ
国際空港を中核とする「エアポートシティ」の構想は、世界的に注目される都市開発の潮流でもある。NADCの開設は、空港だけではなく周辺地域にとっても、インフラ・産業・居住の視点から再設計を行う契機となる。
「空港を利用するだけのまち」から、「空港とともに生きるまち」へ。成田の挑戦は、空港と地域が共に成長する新しい“地域のかたち”を全国に示すモデルケースとなるかもしれない。