英国の教育専門機関「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」は、ベネッセグループの協力のもと、日本の大学の教育力に焦点を当てた「THE 日本大学ランキング2025」を発表した。今回で8回目となるランキングでは、全国257大学が評価対象となり、教育リソース、教育充実度、教育成果、国際性の4分野から総合スコアが算出された。
一般的な偏差値や入試難易度とは異なり、本ランキングは「学生の成長」や「学びの環境」など、教育の中身に注目しており、大学選びに新たな視点を提供している。

トップは5年連続の東北大学 地方国立大の強さが際立つ
総合1位は5年連続で東北大学(スコア85.0)。教育成果と国際性で高スコアを記録し、引き続き安定した評価を得た。2位には東京工業大学(82.7)が浮上し、2024年に統合された東京医科歯科大学とともに2025年以降は「東京科学大学」としての評価が期待される。
続く3位には東京大学(82.2)、4位には京都大学(81.9)、5位には九州大学(81.5)がランクイン。いずれも高い研究力に加え、教育力や国際的な評価でもバランスの取れた強さを見せた。
注目は、秋田県の国際教養大学が5ランクアップし10位に再浮上した点だ。特に「国際性」で最高得点に近い99.9点を記録し、国際基督教大学(11位)とともに、教育のグローバル化を牽引する存在としての存在感を示している。
地方からも高評価の大学が多数 国際性や教育充実度がカギに
総合ランキング上位50大学の中には、熊本大学(23位)、金沢大学(19位)、長岡技術科学大学(29位)など地方国立大学が多く名を連ねており、地域から世界水準の教育を提供している姿勢がうかがえる。
また、民間大学からも立命館アジア太平洋大学(22位)、上智大学(24位)、芝浦工業大学(32位)などが登場。教育の質、学生との対話、国際交流など多面的な評価により、多様な大学の特徴がランキングに反映されている。

「教育力」を起点に大学のあり方を再考する
THEおよびベネッセは、本ランキングを単なる順位付けにとどめず、大学の教育改革を支援するための“可視化ツール”として活用されることを目指している。ランキング指標には、授業の満足度や教員との交流の機会、学生同士の協働学習といった学生調査の結果も反映されており、学生目線での教育の質を測る貴重な指標となっている。
教育環境の改善に取り組む大学関係者はもちろん、進学を控えた高校生やその保護者にとっても、本ランキングは「入学後にどれだけ学べるか」「どんな成長が期待できるか」を知るヒントとなるだろう。
ランキング詳細や分野別データは、公式サイト「THE 日本大学ランキング」より確認可能。