株式会社Sunda Technology Globalは、アフリカ農村部の水問題解決に挑むスタートアップとして、総額1億円の資金調達(シードラウンド・エクステンション)を実施した。調達資金により、ウガンダ全土への展開および近隣国へのスケールを見据え、独自の水料金回収システム「SUNDAシステム」の量産化や現地製造体制の構築を本格化させる。
水のチャージと支払いを可能にする「SUNDAシステム」
SUNDAが提供するのは、従量課金型プリペイド式水料金回収システム。水を利用する各家庭にIDタグを配布し、モバイルマネーなど現地に普及しているキャッシュレス決済で水量を“チャージ”。水設備にタグを挿入することで水が汲め、使用した水量に応じてチャージ残高が減少する仕組みだ。
この仕組みは、主にウガンダ農村部に6万基以上存在するハンドポンプ井戸の維持管理を持続可能にするものとして、現地の水問題に深く根ざした技術ソリューションである。これまでに約300基が設置され、10万人が継続的に安全な水へアクセスしているという。
また現在は、都市部で利用される公共水栓向けのSUNDAシステムのトライアルも進行中。こちらはハンドポンプに比べ水単価が高く、人口密集地域に設置されているため、1台あたりの月間回収額はハンドポンプの約5倍という。
日本のモノづくりと連携、特許出願中の部品も開発
SUNDAは日本のものづくり企業との連携にも注力しており、京都試作ネットとの協業により、アフリカ現地の水圧や使用環境に適応できる高精度な水量計やバルブの量産モデルを開発。ウガンダでの特許出願も進めている。
今後は、年間3,000基の生産が可能な製造拠点整備を進め、ハンドポンプおよび公共水栓向けシステムの拡大を加速させていく。
新しいマネタイズモデルで導入ハードルを下げ、普及を促進
SUNDAでは、特に公共水栓向けシステムについて、初期費用を抑え、運用費から収益を得る新たなマネタイズモデルを導入予定。これにより、現地パートナーや自治体が導入しやすいスキームを実現し、導入速度の加速と持続可能な水供給の実現を狙う。
投資家からも期待の声「京都発・アフリカ発のインパクト企業に」
今回の資金調達には、1982インパクトファンド、京都キャピタルパートナーズ、栖峰投資ワークス、京信ソーシャルキャピタルなどが参画。各社は、SUNDAが水インフラという根本的な社会課題に対し、現地目線と日本技術を融合した実装力ある解決策を提示していると評価。
とくに1982インパクトファンド代表の薛悠司氏は「単なる技術提供でなく、地域の自立を支える仕組みづくりに共感した」とコメントし、社会的意義の高さを強調した。
「京都から世界へ」──安全な水をすべての人に
今後、SUNDAは農村部から都市部へ、そしてウガンダからアフリカ各国へと事業を拡大し、すべての人が安全な水へアクセスできる社会の実現を目指す。京都発のスタートアップが、グローバルな水課題解決の担い手として世界に挑む姿に注目が集まっている。