富山県魚津市立図書館では、タケロボ株式会社が開発したAI図書検索システム「図書館AIコンシェルジュ」の実証実験を、2025年4月11日から5月7日まで実施している。利用者は、図書館1階カウンターに設置された専用端末に対して、音声やタッチ操作で読みたい本の内容やキーワードを入力することで、AIから書籍のレコメンドを受けられる。
従来のキーワード検索では見つけにくかった本も、「知りたいこと」「困っていること」を自然な言葉で伝えるだけで、関連する図書を探してくれるのが特徴だ。
AIが自然な会話から本を提案する仕組み
「嫌いな上司との付き合い方を知りたい」「大谷翔平選手に勝ちたい」「祖母が詐欺にあわないようにするには」──こうした一見あいまいなリクエストにもAIが対応し、魚津市立図書館の蔵書の中から関連する本を紹介してくれる。
利用者にとっては、司書に相談しづらい内容でも気軽に本を探すことができ、図書館職員の負担軽減にもつながる。将来的には、職員の減少や少子高齢化に直面する自治体における、公共施設のAI活用モデルとなることも期待されている。
実証実験の概要と導入の背景
今回の実証では、図書館AIコンシェルジュ専用端末を活用し、利用者のニーズをリアルタイムで把握・応答する体験を提供している。タケロボ社のクラウドWEB型AIプラットフォームを基盤にしており、図書館側は蔵書データがあれば簡単に導入できる。
また、スマートフォンやタブレットなどインターネット接続が可能なデバイスでも利用できる仕様となっており、今後の普及に向けた柔軟性の高さも特長だ。
図書館の未来を支えるAIの可能性
魚津市の今回の取り組みは、図書館をより身近で便利な“知の拠点”へと進化させる好例といえる。AIコンシェルジュは、単に本を探すためのツールにとどまらず、公共施設におけるデジタル活用の新たな可能性を示すものである。
今後は実証実験で得られた利用者のフィードバックや行動データをもとに、さらなる機能改善や展開の検討が行われる予定だ。地域住民と本の新しい出会いを生み出す“対話型図書館”が、全国に広がるきっかけになるかもしれない。
【実証実験概要】
・実施期間:2025年4月11日(金)〜5月7日(水)
・場所:魚津市立図書館(富山県魚津市)1階カウンター
・利用方法:専用端末に音声またはタッチ入力で希望を伝えることで、AIが書籍を提案
【関連リンク】
・魚津市立図書館:https://www.uozu-lib.jp/
・タケロボ株式会社「AI図書検索」紹介ページ:https://www.takerobo.co.jp/book_search.html