空き家や共有持分などの“訳あり不動産”の買取事業を手がける株式会社ネクスウィルは、Jリーグクラブ・水戸ホーリーホックと連携し、「ホーリーホックの“空き家”相談窓口」を開設する。クラブの地域ネットワークと発信力を活かし、空き家の流通促進を目指す取り組みだ。
茨城県の空き家率は全国平均を上回る14.1%
2023年の調査によると、茨城県内の空き家数は196,200戸にのぼり、総住宅数の14.1%を占める(全国平均は13.8%)。空き家の増加は「景観悪化」や「犯罪・放火リスク」「不法投棄」などの地域課題を引き起こす恐れがあり、早急な対策が求められている。
このような背景を踏まえ、地域密着型クラブとして活動する水戸ホーリーホックと、訳あり不動産を専門とするネクスウィルがタッグを組み、新たな地域課題解決の一歩を踏み出した。
相談窓口はクラブの公式サイトに設置
「ホーリーホックの“空き家”相談窓口」は、2025年5月12日(月)に開設予定。水戸ホーリーホックの公式サイト上に特設ページが設けられ、クラブスタッフが一次窓口として相談対応を行う。ファンやサポーターのみならず、地域住民へ広く情報を届けることで、空き家の利活用促進を目指す。
ネクスウィルの丸岡代表は、「空き家は放置されることで地域に悪影響を及ぼす一方、適切に流通させれば新たな価値を生む資源になる」とコメント。クラブの発信力と連携することで、これまで相談に踏み切れなかった層へのアプローチを強化する狙いだ。
「農業」から「空き家」へ 地域密着クラブの挑戦
水戸ホーリーホックでは、2021年から農業課題に着目した「GRASS ROOTS FARM」プロジェクトを展開し、耕作放棄地の利活用や農業への関心喚起を行ってきた。また、2022年からは選手が地域をPRする「ホームタウンPR大使」制度を導入するなど、地域とのつながりを大切にする活動を続けている。
今回、新たに「空き家」に焦点を当てた本取り組みについて、小島社長は「クラブが主体となって社会課題を発信することで、多くの人が“自分ごと”として考えるきっかけになれば」と意欲を語った。
訳あり不動産を再生するネクスウィルの取組
連携相手となるネクスウィルは、事故物件や共有持分、再建築不可物件、所有者不明土地など“訳あり”とされる不動産を買い取り、権利整理などを通じて再販可能な状態にする事業を展開。さらにCtoC型の空き家マッチングプラットフォーム「空き家のURI・KAI」なども手がけ、全国的に空き家問題の解決に取り組んでいる。
同社のノウハウと、クラブの地域浸透力を掛け合わせることで、従来の空き家施策とは異なるアプローチによる地域活性化が期待される。