東邦ガス株式会社は、LNG(液化天然ガス)の冷熱を活用して陸上で養殖した国産サーモン「知多クールサーモン」を、新たなブランドとして正式に公開した。知多半島の自社施設で育てられたこのサーモンは、2025年5〜6月をめどに愛知県内を中心とした地域で生鮮出荷が予定されている。
目次
LNG冷熱の有効活用で、持続可能な養殖へ
知多クールサーモンの最大の特徴は、都市ガス製造過程で発生するLNGの冷熱を活用して養殖水温を維持している点にある。LNGは主成分メタンを−162℃で液化したもので、気化の際に海水を冷却する。その冷却された海水を利用し、寒冷地での生育が適したサーモンの養殖に活かしている。
同様の技術を用いた養殖サーモンの事例は国内初であり、東邦ガスが所有・運営するLNG基地を活用した再エネ技術と地産地消の融合として注目されている。
「知多の地から、笑顔の食卓を」リブランディングで地域色を強調
ブランドロゴには、知多の海に根を張りながら未来へ向けて飛翔するサーモンの姿が描かれており、資源の循環や地域とのつながりが表現されている。また、ブランドステートメントでは「地元と鮮度にこだわった生のサーモンを、地域の皆さまへ届ける」と宣言し、地域との共生を重視する姿勢を明確にしている。
地域の名産品へ、新たな一歩
創業100年を超えるエネルギー企業である東邦ガスが手がけるこの新たな挑戦は、エネルギー活用の枠を越えた地方創生の一環としても位置付けられている。養殖現場では社員が環境管理を徹底し、品質にこだわった生産体制が整えられている。
今後は、ブランド専用の特設サイトや公式Instagramを通じて日々の養殖の様子を発信していく予定であり、「知多クールサーモン」を地元の新たな名産品として育てていく構想だ。