BTMが語るイノベーションの本質 地方の中小・中堅企業はいつからDXに取り組むべきか

BTM
株式会社BTM 代表取締役社長兼CEOの田口雅教氏(筆者撮影)
  • URLをコピーしました!

2025年、日本は団塊の世代が75歳以上となる超高齢化社会を迎える。総人口の5人に1人が75歳以上となり、医療や介護の人材不足がさらに深刻化する見通しだ。同時に、社会保障費の増加も避けられず、経済や雇用に影響を及ぼす可能性がある。

これに加え、経済産業省が提起した「2025年の崖」という問題がある。これは、国内企業が老朽化したITシステムに依存し続けることで市場の変化に対応できず、年間約12兆円規模の経済損失が発生するリスクを指している。多くの企業がデジタル変革に乗り出さなければならない理由がここにある。

目次

DXの本質――単なるデジタル化ではない

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、単にデジタル技術を導入することではない。デジタル技術を活用して新たな事業や価値を創出し、企業の競争力を向上させることを意味する。これがDXの本質である。

企業のDX推進には、次の三段階がある。まず、アナログで管理していた業務をデジタル化する「デジタイゼーション」だ。次に、デジタル化した業務の効率化を進める「デジタライゼーション」がある。そして、これらを経た先に、企業全体の変革をもたらす「DX」が位置している。単なる業務効率化ではなく、企業の持続的成長を実現することがDXの目的である。

株式会社BTM――地方企業のDX推進を担う

DX推進を支援する株式会社BTMは、全国の地方企業に対して「0→1」と「1→10」の両面で支援を行う企業である。代表取締役社長兼CEOの田口雅教氏は「弊社はDXの第一歩から本格導入まで、すべての段階で対応できるのが特徴だ」と話す。

「0→1」とは、デジタル化に初めて取り組む企業向けの支援である。例えば、アナログのタイムカードをデジタル化したり、請求書をExcelで管理したりといった基礎的な取り組みから始める。田口氏は「Excelの導入だけでなく、どう活用するかを徹底的に実務支援する」と語る。

「1→10」は、すでに一部のデジタル化が進んでいる企業を対象に、さらなるDX推進を目指す支援である。エンジニア不足によりプロジェクトが停滞している企業へ全国から最適なエンジニアを見つけて提供するサービスだ。このような支援を通じて、BTMは地方企業のDXを後押ししている。

▲ 「0→1」の支援がDXソリューションサービス。「1→10」をITエンジニアリングサービスとして、企業の課題解決のために両輪で支援している(画像出典:BTM)

自律型フルスタックエンジニア――地域経済を支える人財育成

また、BTMの特徴的な取り組みのひとつに、「自律型フルスタックエンジニア」の育成がある。フルスタックエンジニアとは、フロントエンド、バックエンド、インフラ構築など幅広い分野をカバーできる技術者のことである。

田口氏は「地方のエンジニアは非常に優秀だが、下請け構造に依存する現状では給与水準が向上しない」と指摘する。上流工程や新規サービス開発に携わる機会が少ない地方のエンジニアが、独自のスキルを磨き、自信を持って業務に取り組めるようになることが地域経済の活性化につながると考えている。

▲ 自律した行動力とフルスタックのスキルを兼ね備えたエンジニアを教育しているのもBTMの特徴。全国横断型のフルリモート開発体制により、地方エンジニアでもさまざまな案件に着手できる(画像出典:BTM)

薬品会社のDX事例――業務効率化から新たな事業へ

BTMが支援した企業の中でも、ある薬品会社の事例はDXの可能性を象徴するものだ。その会社では基幹システムの効率化を提案し、工数を大幅に削減した。この余剰工数を活用し、新たなサービスプラットフォームを構築したそうだ。

このプラットフォームは業界全体にとって革新的なものであり、現在では企業の収益源となりつつある。田口氏は「余剰時間を新たな挑戦に使うことで、時代に合ったサービスを生み出せる」と語る。この事例は、単なる業務改善にとどまらないDXの真価を示している。

地方企業の現状――「DXは不要」との声が根強い

地方の中小企業では、DXが必要とされていない現状がある。田口氏は「ITに興味を持つ企業ですら『現状で十分』と感じているケースが多い」と語る。

DXが進んでいるのは地方でも大企業に限られる。これに対し、多くの中小企業では「人材確保の困難さ」などの問題が顕在化するまでDXへの関心が高まらない。このような状況を打破するためには、地方金融機関との連携や企業トップへのアプローチが必要だと田口氏は指摘する。

ことし1月7日に、BTMは北陸銀行と北陸3県(富山、石川、福井)の中小企業・中堅企業のDX推進に向けた、ビジネスマッチングに係る契約を結んだ。地方の中小企業等では「最初の相談先」は金融機関などになることも少なくない。課題がある企業に対し、滞りなくDXに取り組めるようにBTMが携わっていくものだ。

人材確保や採用活動に課題を感じたときがDX推進を始める合図

DX推進の本質は、企業が新たな事業や価値を生み出す「イノベーション企業」として成長することにある。田口氏は「リブランディングや営業支援など、DX導入後のトータルサポートを通じて、地方企業が持続的成長を遂げられるよう支援を続けたい」と語る。

また、田口氏はDX推進のタイミングについてこう述べる。「高齢化が進み、労働人口が減少していく中、企業が人材確保や採用難に直面する時期がDX推進のポイントだと考えています。この状況に対処するため、いかに少ない人員で効率よく業務を進められるかが鍵になります」。

もちろん、DXには初期投資が必要であり、効果が見えづらいことから、導入に踏み切れない企業も多い。しかし、2025年問題や2025年の崖といった社会課題が目の前に迫る今、変革を進めなければ取り残される可能性がある。

現状維持は、未来へのリスクでしかない。DXを通じて新たな価値を創造する企業だけが次の成長を手にすることができる。そして、その変革を支援するBTMは、地方企業の未来を切り開く重要なパートナーとして存在感を増している。

BTM

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次