環境負荷の少ない持続可能な水産業の実現に向け、株式会社ベルデアクアは、2025年4月1日より新たな水処理技術「VA式電解ろ過システム」の販売を開始する。本システムは、従来の生物ろ過方式に代わる画期的な技術であり、安定した水質管理と病原菌リスクの低減を両立する。
目次
陸上養殖の課題を解決する新技術
近年、気候変動による水温上昇や海洋資源の減少が深刻化する中、持続可能な水産業の構築が求められている。陸上養殖は安定した生産を可能にするものの、従来のろ過方式では以下のような課題があった。
- 生物ろ過の管理が難しく、運用に専門知識が必要
- 温度変化によるろ過性能の低下
- 病原菌や寄生虫のリスクが高い
- 水作り期間が必要で、初期運用に時間がかかる
「VA式電解ろ過システム」は、これらの課題を解決し、より安全かつ効率的な陸上養殖を実現する。
「VA式電解ろ過システム」の特長
- 制御可能なアンモニア処理
魚の成長や給餌タイミングに応じて電解強度を調整し、最適なアンモニア処理を実施。 - 温度に依存しない高いろ過性能
微生物を使用せず、電気分解を活用することで、6℃~25℃の幅広い温度帯で安定した水質を維持。 - 殺菌循環による病原菌リスクの低減
電気分解により次亜塩素酸ナトリウムを生成し、病原菌や寄生虫の発生を抑制。 - 水作り期間不要で即日運用可能
微生物を使わないため、水作りに数週間~1か月かかる従来の方法と異なり、設備導入後すぐに運用開始可能。 - オフフレーバーの発生リスクを低減
カビ臭さの原因となるジェオスミンや2-メチルイソボルネオールの発生を防ぎ、出荷前のパージング期間を短縮。
活用シーン
本システムは、以下のような用途に適している。
- 新規事業として陸上養殖を検討中の企業
小規模の実証実験で複数の魚種を試験し、事業化の可否を判断可能。 - 既存の養殖事業者
温度調整コストの削減や病気リスクの低減を目的に、水の循環率を高めたい事業者に最適。 - 研究機関・大学
安定した水処理環境のもと、水作り期間を削減し、研究のサイクルを加速。
自社ラボにおける実証実験
ベルデアクアは、自社設備でクエタマやカワハギの陸上養殖を実施。現場のデータをリアルタイムで反映し、技術開発を進めている。
今後の展開
ベルデアクアは、VA式電解ろ過システムの普及を通じて、持続可能な陸上養殖の発展に貢献。地域社会や環境保全にも寄与し、日本の多様な魚食文化を未来へとつなぐ活動を継続していく。