紀尾井町戦略研究所は8月6日、老後の暮らしを支える公的年金をめぐる状況について、全国の18歳以上の男女1000人を対象にオンライン調査を実施した結果を発表した。調査日は7月30日。
本稿ではプレスリリースに記載の内容をお届けしていく。
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【調査概要】
調査期間: 2024年7月30日
調査機関(調査主体): 紀尾井町戦略研究所株式会社
調査対象: 全国の18歳以上の男女
有効回答数(サンプル数): 1,000人
調査方法(集計方法、算出方法): インターネット上でのアンケート
※「Yahoo!クラウドソーシング」(https://crowdsourcing.yahoo.co.jp/)を活用
32.2%の人が年金未納経験がある
公的年金である国民年金や厚生年金の保険料を納めなければならない期間があるのに、支払っていない期間がある人が30.7%おり、まったく支払っていない人も1.5%いた。「支払っていない期間がある」あるいは「まったく支払っていない」と答えた人を職業別に見ると、自営業・専門職(士業等)・自由業が4割台で最も多く、次いで会社役員・団体役員、医療・福祉関係の職員等、契約社員・パート・アルバイト等、学生、年金生活・無職が3割台だった。
会社員や公務員に扶養される主婦などが「第3号被保険者」として自分で保険料を納めなくとも基礎年金(国民年金)を受け取れる制度を、現行程度で維持すべきだとした人は35.1%で、廃止あるいは縮小すべきだを選んだ人は各15.0%だった。
パートやアルバイトなどの短時間労働者の厚生年金加入を拡大するために、義務付け対象となる企業の従業員数の要件を撤廃する案に賛成46.6%、反対17.1%となった。
「政府の試算を信用していない」が30.1%
政府が7月に公表した公的年金財政の健全性を示す財政検証で、2057年度には現役世代と比べた年金の給付水準が50.4%となり、現行より約2割下がることについてどう思うかを聞いたところ、上位は「政府の試算を信用していない」30.1%、「経済状況が悪化すればもっと下がるので不安だ」29.2%、「現在より約2割下がるので不安だ」16.2%の順だった。
65歳以降に働くと、もらう賃金額に応じて厚生年金の受給額が減る在職老齢年金制度の廃止・縮小案に反対38.2%、賛成30.3%となった。
年金制度に感じる不安 7割弱が「将来の受給額が少なくなる」
現在の年金制度に感じる不安を複数回答で聞くと「将来の受給額が少なくなる」66.8%が最多。自身の将来の年金受給額について聞くと、非常に不安があるとした人が56.4%に上った。非常に不安があるとした人を職業別に見ると、医療・福祉関係の職員等、契約社員・パート・アルバイト等が6割台で最多に。
年金以外で老後資金をどのように準備しているかを聞くと、トップは「預貯金」の65.1%で、以下は「新NISA、株、不動産などへの投資」29.2%、「生活の見直し」24.8%などとなった。
9月の自民党総裁選で誕生する新総裁が次期首相に就任する見通しであることを踏まえ、次期首相にふさわしいと思う国会議員の上位は石破茂氏12.4%、高市早苗氏7.5%、岸田文雄氏5.6%となった。自民支持層に限った回答を見ると、岸田氏23.7%、高市氏16.4%、石破氏15.3%が二桁に乗った。
調査レポートの詳細では、回答者の属性データ(年齢、住まい、職業、年収等)、本稿で掲載しきれなかった設問とその回答なども閲覧できる。