子育て支援制度と代表的な支援例 給付金は何がある?

子育て支援
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日本の数ある社会課題のなかでも、少子化対策は以前から問題視されており、解決するための糸口を模索中です。

1974年ごろまではベビーブームもあり人口が増加し続けていました。しかし、翌年ごろから徐々に下降傾向にあります。

1974年の合計特殊出生率はおよそ2.1前後で推移していました。合計特殊出生率とは、1人の女性が産む子どもの数の指標です。わかりやすくすると、結婚した夫婦が2人出産すれば人口は横ばいで、出産する人数が2.0未満だと人口が徐々に減っていく、という状態です。

ところが、2023年の出生率は1.20で統計を取り始めて以来過去最低値を記録したと厚生労働省が2024年6月に明かしました。

すでに50年近く出生率の課題を解消できず、少子化の一途をたどっている状況が続いています。この少子化の対策として「子育て支援」といった施策が行政などで実施されています。

この記事では、子育て支援について紹介していきます。

目次

子育て支援制度とは

すべての家庭が安心して子育てができ、子育て中の母子の不安や悩み、問題を解消するために設けられたのが子育て支援制度です。

子どもの年齢や、親の就労状況や収入それぞれに合わせた支援が用意されており、必要とされるすべての家庭が利用できる支援を目指しています。たとえば給付金や手当などを受け取れたり、保育園や医療機関を利用できたりなど、経済的なサポートから物理的なサポートまで内容はさまざまです。

代表的な支援例

1.育児休業給付金

いわゆる“育休手当”と呼ばれるものです。雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育する目的で育児休業を取得した際に受け取れる手当のことです。母だけでなく父も育休手当を受け取れます。

2.児童手当

15歳の誕生日後の最初の3月31日まで(=中学校卒業まで)の児童を養育している方が対象で、児童ひとりあたり月額10,000円~15,000円が支給されます。支給の時期は毎年6月、10月、2月の3回。それぞれ前月分までの手当が支給されます。

3.子ども医療費助成(自治体によって内容は異なる)

東京都新宿区を例に挙げます。

新宿区では、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもが医療機関を受診した際に、健康保険が適用される医療費の自己負担分および入院時の食事療養費を助成する制度があります。子ども医療費助成を受けるには、申請して医療証を受け取る必要がありますが、所得制限などはありません。

4.子育て支援パスポート(自治体によって内容は異なる)

東京都での例を挙げます。

東京都では「子育て応援とうきょうパスポート」があり、これを使うと商品の割引やプレゼント品をもらえるなどの特典があります。以下では、主な実施協力店をいくつか紹介します。パスポート以外に必要なものや、系列・チェーン店でも店舗によって内容が異なる場合があるため、詳細は公式サイトや該当の店舗にてご確認ください。

・日本橋髙島屋S.C.

日本橋髙島屋5階キッズクラブカウンターで「キッズクラブ」にご入会いただいた方で、小学校入学時などに記念品をプレゼント

・マクドナルド 後楽園店

ハッピーセットのチーズバーガーセット(チーズバーガー+選べるサイドメニュー+ドリンクS+本またはおもちゃ)を特別価格でご提供

※朝マックはハッピーセットのチキンマックナゲットセットを特別価格でご提供

・すたみな太郎西新井店

120分コース以上選択でお会計時にランチタイム5%・ディナータイム10%割引(食事代のみ 飲料代除く)

・ドコモショップ青梅河辺店

スマホケースプレゼント

・コメダ珈琲店 三鷹上連雀店

小学生以下ミニソフトクリーム無料(保護者同伴時)

5.奨学金

経済的な理由で修学が困難な優れた学生等に、学資の貸与および給付する制度です。返済が必要なもの、不要なものがあります。所定の学力基準や家計基準を満たしていることが貸与・給付の条件です。

6.認定こども園

幼稚園と保育所の機能や特長をあわせ持ち、地域の子育て支援も行う施設です。5歳まで利用できます。

ひとり親家庭への支援をする自治体もある(千葉県・松戸市)

松戸市では、母子・父子自立支援員がひとり親家庭の家計相談、生活全般の相談、貸付相談などさまざまな悩みに対応し、ひとり親等の利用できる制度を案内してくれます。また、離婚前後の養育費の相談や親子交流の支援、公正証書作成費用の助成、養育費保証契約の保証料の助成もあります。

子育て支援が手厚くなっている背景

子育て支援が手厚くなる背景には、当然少子化対策という側面が大きいです。子どもは欲しいけれど経済的・環境的に諦めなければいけない、といった家庭に向けてサポートすることで、最終的に少子化対策を図るということです。

ただ、子育て支援の目的は少子化対策だけでなく、女性の仕事と子育ての両立支援という役割も担っています。母親が出産後、育休期間を経て復職しやすくするために保育園に入りやすくしたり、直接・間接による金銭的支援で家計を支えたりなど、ある種の自立サポートの面もあります。

いずれにしても、子どもの存在は国としても将来を支える替えの利かない存在なので、支援を手厚くすることは当然の動きです。

自治体や企業、店舗ごとにも特別な支援対応を設けているところも増えているので、子育て環境は年々整っていきつつあると感じます。

子育て支援では少子化は止められていない事実

これだけ手厚さを増していっている子育て支援があるにもかかわらず、冒頭にお伝えしたとおり合計特殊出生率は現在もなお低下しています。

しかも、都道府県別の合計特殊出生率は、すべての都道府県で2022年よりも低下している事実も明らかになりました。つまり、特定の地域・地区だけが著しく下がっているのではなく、日本全体で少子化が急速に進んでいるのです。

とくに、人口が一極集中している東京都では、合計特殊出生率は0.99。1を下回る数値で全国最低値です。最も高かったのは沖縄県の1.60。次いで宮崎県と長崎県が1.49です。

合計特殊出生率が下がったことで、出生数も2023年は過去最少になりました。2023年の1年間で生まれた日本人の子どもの数は72万7,277人で、2022年より4万3,482人減少しました。出生に寄与すると言われている結婚の件数自体も下がっており、2023年は47万4,717組と、2022年より3万213組も減っています。この数は戦後最小です。

少子化はさまざまな理由によって起きています。そのなかでもやはり経済的な側面が非常に大きいのは事実です。たとえ、子育て支援で金銭をもらえたとしても、正社員で1ヵ月間フルで勤務したときと比べると収入は減ってしまいます。

収入面だけでなく、支出の面で考えたとしても、昨今の物価の上昇によって家計はひっ迫しており、子育てをする余裕がない家計は少なくありません。また、子育てに取り組んでいる家計も実はギリギリで耐えている、というのも実状であります。

たしかに子育て支援制度は子育て世帯からは大変助かるもので、さまざまな恩恵を受けていることに違いはありません。しかし、これだけでは現在の日本において悩みなく子育てできる環境ではない、というわけです。

少子化に歯止めをかけられるタイムリミットはあと5年

2023年4月に国立社会保障・人口問題研究所が公開した「日本の将来推計人口」によれば、2031年には総人口の平均年齢が50歳を超えるとしています。また、2032年には15~64歳の人口が7,000万人を下回るとも。

そのため、専門家や有識者からは2030年が少子化対策の重要なタイミングという声も少なくありません。なかには、このまま少子化・高齢化は止めることが難しいため、この潮流に合わせた新たな取り組みや施策を打つ必要があるとする有識者もいます。

あと5年ほどがタイムリミットされている現状で、今後新たな施策や取り組みが生まれることに期待しましょう。

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