地方創生でよく聞く「関係人口」とは? 重要だと言われる理由を紹介

関係人口
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スマートシティや地方創生、まちおこしといった取り組みのなかで必ず「移住」というワードが出現します。

地域を活性化させ、首都圏一極集中を解消した先にある結果のひとつです。さまざまな地域に人が分散し、地域ごとに盛り上がりをみせ、国全体を押し上げていくといった話です。移住する人が増えれば、その地域の人口が増え、経済が潤い、行政のサービスなどが拡充される好循環が生まれます。

しかし、移住は非常にハードルが高い要素です。その人自身の人生を左右する行動といっても過言ではありません。居住先や就労先、各種インフラなど解消すべき問題を解決しなければ、なかなか移住する人を募れないのも事実です。

そのため、地方創生においては移住者よりも「関係人口」という数値を追うところも増えています。

この記事では、関係人口について紹介します。

目次

関係人口とは

総務省のページによれば、関係人口とは「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと」と説明しています。観光客以上定住者未満、といった表現をするケースもあります。

わかりやすくいえば、「住んでいないけれど、日常的に使う(=関係している)人の数」です。

たとえば、神奈川県に住んでいる人の職場が東京都にあったとして、月曜から金曜まで平日毎日通っているなどであれば、東京都の関係人口になっているのです。

仕事・職場を例に挙げましたが、もちろん学校も当てはまります。さらには、イベントごとなども含まれ、定期的にその土地・地域に訪れる人を指しているのが関係人口です。ある意味、その土地へのリピーターという表現が適切かもしれません。

総務省の定義では以下の3つに関係人口が区分されます。

  1. 行き来する者(風の人)
  2. 地域内にルーツがある者(近居・遠居)
  3. 何らかの関わりがある者(過去の勤務や居住、滞在等)

厳密に、どの期間内に何回以上その土地・地域に訪れれば関係人口になるのかといった定義は定まっていないものの、その場に対して何らかの関わりがある、密接な関係を築いていれば関係人口になったと言えます。ちなみに、観光に訪れただけ(1度だけ行ったなど)の場合は、「交流人口」と呼ばれます。

関係人口を増やす意味

先ほど記載したとおり、関係人口とはリピーターです。職場や学校があるという以外で特定の土地に何度も訪れている人は「ファン」という言い方でもいいかもしれません。

関係人口が増えれば、その地域の経済が潤いやすくなります。1人当たりの経済貢献は移住者ほどではないけれど、関係人口が増えればそれだけ経済の循環も見込みやすくなるというわけです。

交流人口、関係人口、移住者の流れはマーケティングとも近しい分野だとも言われています。初回の来訪者を交流人口、リピーターを関係人口、コアなファンを移住者と置き換えて定義することが可能です。

初回来訪を見込むためには、その土地や地域について認知度をあげたり、ターゲットが興味を持ちそうなイベントや催しを開催したりして、観光客を募ります。そうして訪れてくださった方のリピーター化、ファン化を狙っていくというのが一連の流れです。

もちろん、地域によっては移住者よりも関係人口を増やすことをゴールに据える場合もあります。たとえば、土地の都合上、首都圏のような生活インフラを整えることが物理的に難しい場合、定住者を募るのではなく、観光としてリピートしてくれる人を増やすといった動きになるわけです。

いずれにしても、地域に人を呼び込んで、盛り上げることが地方創生などの目的なので、関係人口を増やすアクションはとても有効であると話題になっています。

関係人口を増やすための3つのポイント

関係人口は自然と増えることはもちろん無く、関係人口が増えた場所には増えた理由が存在します。さまざまな事例がありますが、基本的には3つがカギになっている状態です。

1.定期的なイベント/催しを開催している

主に観光客のリピーター化を狙ううえでは定番の方法とされています。定期的なイベントや催しというと、なかなか難しそうな雰囲気があるものの、その地域と密接な関係をもつ(たとえば生まれた、など)タレントやアーティストを招いたイベントを開催したり、地域ならではの伝統・文化を主とした企画を実施したりとさまざまです。

招致するアーティストなどに根強いファンがいると、そのままその地域のファンにもなってくれる、といった行動変化にも期待をもてるかもしれません。

2.就労場所を作る

移住するうえで最も重要なのが「どうやって生活するか」「どこでお金を稼ぐのか」という労働面が課題になりやすいです。そのため、労働環境を整備できるかどうかが移住の決め手のひとつです。ただ、簡単に雇用を創出できるわけもなく・・・。

そこで自治体などが取り組んでいるのは、シェアオフィスやリモート勤務用の貸しスペース。コロナ禍以降、リモート勤務できる企業も増えたことで、家賃や住まい環境がより適している土地に引っ越す人もいます。

そういった方をターゲットに、貸しスペースを提供することで、その場に通ってもらう。つまり関係人口になってもらう取り組みがあります。

ネットワーク環境とリモート勤務に適した設備を整える必要はあるものの、雇用創出に比べればはるかにハードルは低いです。ただ、同様のサービスを提供している団体や事業者が多いのも事実なので、付加価値での勝負となる可能性もあります。

3.学校を作る/呼ぶ(主に大学)

就労場所の項目と近しいですが、学校があればおのずと関係人口を増やせます。主に大学などがあれば、そこから地域発展、雇用創出なども見込みやすくなるようで、大学の招致というのをテーマに掲げている自治体や企業もあるそうです。

どの方法にしても、集客した方(来てくださった方)が今後どのようになってほしいのか、ロードマップを描く必要があります。また、関係人口の定義はマーケティングに置き換えられると先に記したように、豊富なマーケティング戦略からそのまま置き換えて成功パターンを探る、という方法もあるはずです。

まちおこしよりはハードルは高いけれど、地域活性化ほどは結果が出るのは遠くない。関係人口の増加を目指す取り組みは、中期的な結果を求めざるを得ない場合でも取り組む方針としてはよさそうです。

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